マルジェラが手掛けたエルメスのバッグ、パリ競売へ。1997〜2003年「静かな革命」を振り返る
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前衛的な服づくりで知られるマルタン・マルジェラが、伝統的なメゾンであるエルメスを手掛けていた。ファッション史に残るその意外な組み合わせを、今あらためて見つめる機会が訪れました。
パリのMaurice Auctionが開催する「100% Hermès」オンライン競売(2026年10月29日終了予定)に、マルジェラ期に由来する「Initiales(イニシャル)」バッグが登場しています。
競売に登場した、約2002年製の「Initiales」
出品カタログのロット27によると、バッグは黒の柔らかなカーフとブラウンのバレニアレザーを使用した約2002年製。パラジウム色の金具が使われ、サイズは約32 × 23 × 17cm。状態は「良好」とされる一方、全体に小さな使用痕があることも明記されています。
予想落札価格は6,000〜10,000ユーロ。これは競売前の見積もりであり、実際の落札価格ではありません。販売価格や一般的な中古相場として読み替えるべき数字ではないでしょう。
1997年、なぜエルメスはマルジェラを選んだのか
マルタン・マルジェラは1997年から2003年にかけて、エルメスのウィメンズ・プレタポルテを担当しました。当時すでに自身のブランドでは、解体や再構築、素材の再利用といった実験的な表現で知られていたデザイナーです。
一方のエルメスは、素材と職人技を重んじる歴史あるメゾン。対照的に見える両者ですが、2017年にベルギーのMoMu(モードミュージアム・アントワープ)が開催した回顧展「Margiela, the Hermès Years」は、二つの世界に共通する考え方を明らかにしました。
マルジェラがエルメスで追求したのは、奇抜な装飾ではなく、着心地、触感、時代に左右されないデザイン。服を着る人にとっての快適さと、上質な素材によって生まれる静かな贅沢でした。
反骨精神は、目立たなくても宿る
自身のブランドのマルジェラには、既存のファッションの常識を問い直す強い実験性があります。しかしエルメスでは、同じ思想が抑制されたシルエットや機能性として表れました。
「派手に壊すこと」だけが前衛ではない。長く使い続けられるものを、あえて静かに作ることにも、新しい価値観を提案する力がある。今回のバッグも、そうした時代の空気を考える手掛かりになりそうです。
RUSEAK編集部より
Haru
「ルシークさん、エルメスってバーキンやケリーの印象が強いっすけど、マルジェラが関わっていた時代のバッグも面白いんすね。」
Iris
「私、この時代のエルメスが好きです。華やかさを競うというより、着る人や使う人のことをじっくり考えたようなデザインで。」
Ruseak
「マルジェラというと再構築のイメージが強いけど、エルメスでは引き算をしたんだと思う。主張を抑えても、思想はちゃんと残るんだよね。」
Haru
「なるほど。『マルジェラらしくない』じゃなくて、別の形のマルジェラらしさってことっすか。」
Ruseak
「そう。しかも何十年も経った今、こうして競売に並ぶ。ファッションは流行だけで終わらないって感じるよ。」
価格ではなく、その時代の思想を見たい
先日紹介したバーキンの中古市場の変化と同様に、アーカイブを見るときも「いくらになるか」だけでは不十分です。今回のInitialesは、一つの出品例。落札後の結果や他の取引との比較がなければ、市場全体の価格を語ることはできません。
むしろ注目したいのは、マルジェラがエルメスに残した「静かな贅沢」という考え方。ブランドを越えて、今も読み解く価値があるのではないでしょうか。
関連記事:バーキンの希少性に変化の兆し。エルメス中古市場で起きていること
参考資料
Drouot|Maurice Auction、ロット27「HERMES PAR MARTIN MARGIELA」
Maurice Auction|100% Hermès公式カタログ
MoMu|Margiela, the Hermès years(2017年回顧展)
Gazette Drouot|Deux belles signatures de mode(2026年10月21日)
※キャッチ画像はRUSEAKが制作したAI生成の編集イメージです。実際の出品バッグおよび競売会場の写真ではありません。編集部の掛け合いは記事のテーマを伝える創作表現です。